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2022.12.18

不動産の売却

不動産売却で確定申告が必要な場合とは?自分で申告する方法や必要書類、不要なケースも紹介

土地や建物を売った場合、翌年に確定申告が必要な時と不要な時があります。必要な場合は、確定申告をしないとペナルティが課されるので注意しましょう。

今回は不動産売却で確定申告が必要な場合について解説します。自分で確定申告をする方法や必要書類などについてもお伝えするので、ぜひ参考にしてください。

不動産売却で確定申告が必要なケース

不動産売却で確定申告が必要なのは、土地や建物を売って利益が出た場合と、税額を抑えるための特例を受ける場合です。以下では、各ケースについて詳しく解説します。

1. 譲渡所得(売却益)が出た場合

土地や建物を売って利益が出た場合には、確定申告が必要です。不動産の売却益のことを「譲渡所得」と言い、この所得は給与所得などとは区分して計算する決まりになっています。

譲渡所得の計算式は次のとおりです。計算の結果、プラスになった金額は課税対象となるので、忘れずに確定申告をしましょう。

<(課税)譲渡所得の計算方法>
譲渡価格 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額(最高50万円)= 課税譲渡所得金額

上記のうち、取得費とは土地や建物の購入代金、仲介手数料などの合計額です。また譲渡費用とは、仲介手数料や測量費をはじめとする売却にかかった直接的な費用、立退料、建物の取り壊し費用などを指します。

例えば、土地が1,000万円で売れたとしましょう。その土地のかつての購入代金が900万円、売る時に支払った測量費と建物の取り壊し費用が100万円だった場合は、損益が0になるので確定申告は不要です。

一方、土地が2,000万円で売れて、取得費と控除費用がそのままなら、売却益が1,000万円となるため、確定申告が必要になります。その1,000万円に対しては、翌年税金が課せられます。

なお、譲渡所得には50万円までの特別控除があるため、売却益が50万円以内だった場合は、確定申告の必要がありません。

2. 特別控除の特例を受ける場合

特別控除の特例を受け、不動産売却にかかる税金をなくしたい、もしくは減らしたい場合にも確定申告は必要です。特別控除の特例はたくさんありますが、とくにマイホームを売った場合に適用される以下3つの特例を知っておきましょう。

A. 3,000万円の特別控除の特例

マイホームを売る場合は、所有年間に所有期間にかかわらず、特別控除が最高3,000万円になります。つまりマイホームの売却益が3,000万円以下であれば、課税譲渡所得はなくなり、税金がかかりません。

B. 軽減税率の特例

マイホームを売った年の1月1日時点で、その家の所有期間が10年を超えていた場合、以下のとおりに所得税および住民税が軽減されます。なお、「A. 3,000万円の特別控除の特例」も同時に適用されるので、3,000万円以下の売却益に対しては、税金がかかりません。

課税譲渡所得 所得税 住民税
6,000万円までの部分 約15%→約10% 5%→4%
6,000万円を超える部分 軽減なし

 

C. 買換え(交換)の特例

マイホーム売却前後の3年間に新しいマイホームを購入する場合、所定の条件を満たすことで、課税を繰り延べられる特例です。譲渡税を支払うのは、新しいマイホームを売却するタイミングになります。

この特例のメリットは、当面は税金がかからないので資金繰りが楽になることです。加えて、課税を先延ばしにでき、新たなマイホームを売らない限り、譲渡税を払わなくて済む点も魅力といえます。

ただし、買換え(交換)の特例は、上述の「A. 3,000万円の特別控除の特例」「B. 軽減税率の特例」とは併用できないのでご注意ください。

譲渡損失が出たら確定申告は不要

不動産売却によって損失が出た場合、確定申告は不要です。分離課税という仕組みによって、譲渡所得と給与所得や事業所得などは別枠になっています。そのため、譲渡損失をほかの所得で相殺(損益通算)することはできず、確定申告をしても意味はありません。

5年以上住んだマイホームの売却損は確定申告すべき

例外として、5年を超えて住んだマイホームを売って譲渡損失が出た場合は、確定申告をしたほうがよいです。特例によって、譲渡損失を給与所得などの他の所得と損益通算することができます。つまり売却した翌年の所得税および住民税を下げることが可能です。

なお、損失の金額が大きく、1年で控除しきれない際は、以後3年にわたって控除を受けられます。

確定申告しないと「無申告加算税」が課される

不動産売却によって利益が出たにもかかわらず、確定申告をしないと、通常の譲渡税にプラスして「無申告加算税」が課されます。無申告加算税の金額は、納付すべき金額の15%(50万円を超える部分は20%)です。

ただし、申告期限が過ぎてから1ヶ月以内に自主的に確定申告をした場合、基本的に無申告加算税は課されません。また1ヶ月を過ぎても、期限後申告が税務署の調査を受ける前であれば、税率が軽減されます。

よって、本来すべき確定申告を忘れていたことに気づいた場合は、できるだけ早く期限後申告をするのがおすすめです。

なお、期限後申告となった場合は、無申告加算税のほか、利息に相当する延滞税もかかります。

翌年2月16日〜3月15日までに必ず申告すべき

土地や建物を売って利益が出た場合は、翌年の2月16日〜3月15日までの間に確定申告をし、所得税を納めることが所得税法によって決まっています。確定申告をしないと、「無申告加算税」というペナルティが課されるので、忘れず申告しましょう。

確定申告の方法や必要書類については、次項の内容を参考にしてください。

不動産売却にかかる確定申告の必要書類一覧

・売却した不動産の登記事項証明書
・売買契約書のコピー(購入時・売却時それぞれ)
・確定申告書B様式(第一表)
・確定申告書第三表(分離課税用)
・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)

以上5種類が、不動産売却にかかる確定申告の必要書類です。

まずは売った土地や建物の登記事項証明書を取得してください。法務局に行って入手するか、オンライン請求によって手に入れられます。それと同時に、不動産を購入した時と売却した時、それぞれの売買契約書を探してコピーを取りましょう。

残りの確定申告書や譲渡所得の内訳書に関しては、「確定申告書作成コーナー」で手続きする際に作れるので、事前に調達しておく必要はありません。作成コーナーを利用せず、手書きなど独自で手続きをするなら、国税庁のHPから入手しましょう。

特別控除の特例を受ける場合の追加書類

マイホームを売って譲渡益・譲渡損失が出て、特別控除の特例を受ける場合は、追加の書類が必要になることがあります。例えば、新しいマイホームの買換えを伴う際は、売ったマイホームの登記事項証明書に加え、新しく買ったマイホームの登記事項証明書が必要です。

また譲渡損失を損益通算するための条件として、新旧マイホームの住宅ローン残高が必要な場合は、該当のマイホームにかかる住宅借入金等の残高証明書も求められます。以上より、特別控除の特例を利用する場合は、各自の必要書類について、詳しく調べるのがおすすめです。例えば、国税庁が公開している「主な特例の適用を受ける場合の申告書添付書類チェックシート」などを確認するとよいでしょう。

不動産売却の確定申告を自分でする方法

不動産売却に伴う確定申告には、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を活用するのがおすすめです。必要事項を入力するだけで簡単に提出書類が作れて、納税額も自動で計算してもらえます。

確定申告書等作成コーナーを利用した申告・納税の流れは以下のとおりです。なお、手書きで申告する方は、後述の「手書きで確定申告する流れや書類の書き方」をご参照ください。

1. 登記事項証明書をオンライン請求する

まずは法務局のホームページにて、登記事項証明書をオンライン請求しましょう。法務局証明サービスセンターや登記所の窓口でも入手できますが、オンラインのほうが手軽なのでおすすめです。オンライン請求のほうが手数料も少し安くなります。

請求した登記事項証明書が届くのは、3日〜1週間後くらいなので、余裕を持って手続きするのがよいでしょう。

なお、マイホーム関連の特別控除の特例を利用する場合で、住宅借入金等の残高証明書など、追加の書類が必要なら、このタイミングで準備しておくべきです。

2. 売買契約書のコピーを取る

続いて自宅などにある売買契約書のコピーをとりましょう。今回、不動産を売却したタイミングで受け取った売買契約書と、その不動産を購入した時の売買契約書について、それぞれのコピーを用意してください。

売買契約書のコピーが取れて、登記事項証明書が届いたら、下準備は完了です。あとは国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で必要事項を入力のうえ、申告・納税するだけになります。

3. 国税庁HPで必要事項をすべて入力する

登記事項証明書などが準備できたら、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」で、確定申告書や内訳書を作成します。作成するといっても、案内に従って必要事項を入力していくだけなので簡単です。

具体的には以下のような項目について、数値の入力を求められます。数値がわからない項目がある場合は、事前に調べておくのがおすすめです。

・譲渡価格の内訳 – 不動産の所在地、譲渡価格、種類、面積、利用状況など
・譲渡費用 – 仲介手数料、売買契約書に貼った収入印紙代など
・取得費 – 売却した不動産の購入・建築にかかった代金
・給与所得 – 給与所得の源泉徴収票に記載のある事項
・公的年金等 – 公的年金等の源泉徴収票に記載のある事項
・所得控除 – 年末調整していない生命保険科控除など
・住所・氏名等 – 職業、世帯主、マイナンバーなど

上記の項目を入力すれば、自動で提出書類が作成され、納税額も計算されます。あとは書類を提出して、納税すれば確定申告は完了です。

なお、国税庁のホームページには、具体的な入力例も載っているので、入力に迷った場合はそれらをご確認ください。

4. 必要書類を送信もしくは郵送する

申告書等を作成できたら、管轄の税務署に提出します。マイナンバーカードをお持ちの場合は、e-Taxを使ってデータを送信するという方法が便利です。

また書類を印刷し、郵送や持参によって提出するのでも構いません。

5. 所得税を納める

不動産の売却益にかかる所得税は、確定申告の期間(2月16日〜3月15日)に自分で納める必要があります。あとから納付書が届いて納税という流れではないのでご注意ください。

納税方法ですが、申告の際にもらえる「申告所得税の納付書」を使って、金融機関での振込や税務署の窓口で払込をしましょう。口座振替の依頼書を提出すれば、振替納付とすることも可能です。

納税まで済めば、不動産売却にかかる確定申告の作業は、すべて完了となります。

手書きで確定申告する流れや書類の書き方

基本的には「確定申告書等作成コーナー」を使うのが便利でおすすめですが、譲渡契約件数が4件以上の場合など、作成コーナーが使えないケースもあります。またさまざまな理由で、手書きのほうが都合の良い方もいるでしょう。

オンラインではなく、手書きで確定申告をする場合の手順は以下のとおりです。

1.必要書類をそろえる
2.譲渡所得の内訳書に記入する
3.確定申告書第三表(分離課税用)に記入する
4.作成した書類を税務署に提出する
5.所得税を納める

各書類の書き方については、国税庁ホームページの「確定申告書の記載手順(手書きの場合)」「確定申告書、明細書の記載例(手書きの場合)」などとご確認ください。

納税額(所得税額)の計算方法

手書きで確定申告をする場合は、「課税譲渡所得×税率」で納めるべき所得税額を求めます。

上述のとおり、課税譲渡所得金額の求め方は、「譲渡価格 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額 = 課税譲渡所得金額」です。特別控除額は最高50万円が基本ですが、マイホームを売る場合は特例で最高3,000万円に上がります。

税率は、所有期間が5年を超える不動産については「15.315%」、5年以内の不動産では「30.63%」です。

例えば、10年所有した土地を売却し、譲渡所得が3,000万円になった場合、確定申告期間中に納める所得税は、3,000万円×15.315%=459万4,500円となります。

確定申告が不安なら税理士などの専門家を頼るのも良い

不動産売却で確定申告が必要なのは、売却益が出た場合です。またマイホームを売って譲渡益・譲渡損失が出た場合を中心に、特別控除の特例を受ける際にも確定申告が求められます。

確定申告書等作成コーナーを活用すれば、申告の作業は比較的簡単です。しかし、不安な場合には税理士をはじめとする専門家に相談するのも良いでしょう。とくに特例を受ける場合には、適用のための細かい要件があり、追加の書類も必要となるので、プロに頼ったほうが安心かもしれません。

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