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2023.02.02

不動産の売却

不動産鑑定士に依頼する費用の相場とは?鑑定評価書の利用目的を解説!

不動産鑑定士という資格は読んで字のとおりで不動産を鑑定することが主な業務です。
そんな不動産鑑定士ですが、費用はいくらで依頼できるのか、どんなときに依頼し具体的に何をする人なのか明確に説明できる人は少ないでしょう。

本稿では不動産鑑定士について、依頼費用の相場、どんなときに不動産鑑定を利用するのかを解説します。

不動産鑑定士は何をする?依頼費用は?

不動産を鑑定するから不動産鑑定士ですが、不動産鑑定士が具体的に何をするのか解説します。
鑑定とはどういうことなのか、何をする人なのか明確にしましょう。

不動産の経済価値を鑑定する

不動産の価格を検討しなければならない場合では、2つ価格の決め方があります。

ひとつは「実売価格」です。
売れる金額こそ相場という考えがあり、いくらで評価されたとしても実売価格より確定的なものはないというものです。

買い手がいくらで買うか明確にしていて、その価格に売主が納得している場合には、不動産の価値は取引された額で確定します。

もうひとつは「鑑定評価」です。
周辺相場や取引事例、市場性から不動産の価値を判定し、建物があれば建物の経済的価値を算出して、不動産が持つ純粋な価値を評価します。

不動産には2つとして同じものはなく、価値は社会情勢によって変化するものです。
土地には借地権や地上権、地役権など複雑な権利関係があり、地代や家賃、売買価格と複雑に経済価値が絡み合います。

それらに対し専門知識を活用して、不動産の適正な価値を導き出せるのが不動産鑑定士です。

公示地価や基準地価

公示地価とは毎年3月に国土交通省が発表する、毎年1月1日時点での全国に点在する標準地の土地価格です。全国で約2万6,000地点のポイントを標準地として、1地点につき2名以上の不動産鑑定士が鑑定評価、それに基づいて適正な地価を判断、発表するものです。

公示地価の目的は適正な不動産価格を形成するためで、一般的な不動産取引や公共用地などの用地取得、企業が保有する土地の時価評価の基準や指標として活用されます。

また、公示地価は市区町村が固定資産税路線価の目安や、国税庁が相続税路線価の目安としても利用しています。

基準地価は公示地価では網羅できなかったエリアを補完する目的で、都道府県が発表しているものです。1地点あたり1名以上の不動産鑑定士が鑑定評価し、それに基づいて基準地価を判断、発表しています。

不動産のコンサルティング業務

不動産鑑定士は不動産の適正な価値を計算する専門家ですが、知識を活かした不動産のコンサルティング業務も行います。

家賃や地代の鑑定をもとに地主や大家へのコンサルティングや、法人が検討している出店計画の収益性を検討したり、賃料が適正かどうかのアドバイスなども可能です。

行政が主導する再開発やまちづくりについての助言や、不動産に関する法律の相談にも応じるなど、コンサルタントも不動産鑑定士の業務範囲です。

依頼費用相場は?

不動産鑑定士の鑑定費用の相場は1件20万円から50万円くらいで、不動産の種類や規模によって変動します。そして鑑定評価額が高くなればなるほど、鑑定費用も高くなります。

都市部で面積が50坪以下の土地の場合、鑑定費用は15万円から25万円程度、建物も付くと20万円から40万円ほどが目安となります。

多くの不動産鑑定事務所は国土交通省が発表している「公共事業にかかる不動産鑑定報酬基準」を指標に使っているので、費用の目安を知りたい場合にはそちらで確認ができます。具体的に依頼を検討している人は不動産鑑定士に相談のうえ、見積もりを取得しましょう。

また、不動産鑑定士との相談は、顧問契約やコンサルティング契約を締結していなければ30分5,000円ほどが相場で、弁護士以外の士業に相談した場合と大きく変わりません。

不動産鑑定士が鑑定する対象

不動産を鑑定すると言っても、具体的なイメージがしづらいものです。
不動産鑑定士が何を鑑定するのか、その一例を解説します。

土地・建物価格

不動産売買を検討している場合や相続の遺産分割協議にて、土地や建物の価値を知りたいという状況は少なくありません。

不動産鑑定士に鑑定評価を依頼することで、正確な不動産の価値を知ることができます。土地はもちろん建物についても計算してもらえるので、目安が分かりづらい中古住宅でも、正確な建物の価値を把握できます。

賃貸住宅の賃料

大家としてアパートやマンションを所有している場合、家賃設定は収入に直結する大事な要素ですが、家賃が高すぎても入居者が入りません。

安すぎても収入が落ちてしまうので、ちょうど良い家賃設定は難しいものです。不動産鑑定士の鑑定評価では適正家賃を検討することも可能です。同時に、土地と建物の評価とあわせて物件の収益性から検討し、賃貸物件の価値を算出してくれます。

借地権の地代

家賃と同じように借地権の地代についても適正な評価を下してくれます。
これから定期借地権や普通借地権での賃借権契約を進めるのであれば、長期的にどれくらいの収益、または支出になるのかの検討がしやすくなります。

地代は一般的に固定資産税と都市計画税の2倍から3倍と言われていますが、立地や用途によってはその限りではありません。借地権は数十年の長期間契約なので、高すぎず、安すぎない地代設定が重要です。

店舗や事務所の賃料

アパートやマンションの家賃設定より難しいと言われているのは、店舗や事務所の賃料設定です。ビルやオフィス、商業モールなど規模が大きいほど賃料設定の難易度が上がります。

こうした施設では不動産の価値だけではなく、利用が見込まれる事業の収益性や、周辺環境、店舗ならば利用者数や売上予測など、多角的な方面から鑑定評価されます。

不動産鑑定士は商業的な物件の収益性についても知見を有しているため、こうした施設の鑑定評価も可能です。

どんなタイミングで不動産鑑定を利用する?

一般的な住宅の購入や売却では不動産鑑定士に依頼せずとも不動産会社による査定で事足りる場面が多いですが、不動産鑑定士にはどのようなタイミングで鑑定依頼するのでしょうか。

一般的な不動産取引から相続のタイミング、依頼人が賃貸物件のオーナーから地主、法人の場合まで、さまざまな立場やタイミングでの鑑定依頼について解説します。

不動産売却前に鑑定する

不動産を売却する際に、売却する不動産の価格が適正かどうかを確認するため、不動産鑑定士を利用することがあります。

一般的に売却時では、いくつかの不動産会社に査定を依頼し、比較して価格決定、不動産会社を決めて売却依頼するものです。

しかし、査定内容にばらつきが発生している場合、どれを基準に考えるべきか判断が難しいです。高く出しても売却が長引き、結果として値下げを繰り返して、相場より安くなってしまうこともあります。逆に安く売却するのも、損した気分になってしまいます。

そんなときに適正な価値を不動産鑑定士に鑑定してもらうことで、適正価格で売却を始められます。鑑定したことで査定内容より高額で売却できるのならば、不動産鑑定の費用を支払ったとしても結果としてプラスになります。

不動産売却を検討しているのならば、不動産鑑定士に相談することも視野に入れておきましょう。

アパート・マンションの建築前に相談する

アパートやマンションなどの賃貸物件では家賃設定によって収益性が変わってくるため、場合によっては建築を見送ることにもなります。その際、不動産鑑定士に相談し、助言をもらって家賃設定を進めると検討が具体化しやすいです。

家賃設定以外にも建築エリアのニーズや間取りごとの想定賃料、店舗部分にニーズがあるのかどうかなど、多角的に提案をもらえます。

それにより、設計から内容が変わってくる可能性があるので、安易に想定収益を最大化する賃貸物件の建築を検討せず、不動産鑑定士に助言をもらうこともおすすめです。

遺産分割協議

相続が発生し複数の相続人がいる場合に、誰がどの遺産を相続するか協議して決定することを遺産分割協議と言います。遺産分割協議では遺産の範囲や評価額を決めることから始めるため、不動産評価額は重要になるのです。

不動産評価額を求める際は以下の方法を用います。

・国税庁が定めた相続税路線価を根拠として用いる
・国土交通省が定めた公示地価を利用する
・不動産会社の査定書を利用する
・不動産鑑定士に鑑定依頼する

このなかでも最も信憑性が高いものが不動産鑑定士の鑑定評価です。複数の相続人で遺産分割協議がまとまらない場合、裁判所に申し立てて遺産分割調停や、調停でもまとまらない場合は裁判所の審判を求めます。その場でも不動産評価額の根拠として鑑定評価書は利用されます。

借地権の地代見直し

普通借地権では契約期間が30年以上、更新後も更新期間が20年と長期の契約になりますが、更新時には契約した30年前と地価が大きく変わっていることもあります。その場合、更新時に地代の増額を求める地主は少なくありません。

地代の増額請求や、増額請求された地代が高すぎるために減額請求する借地人もいて、根拠として不動産鑑定士に鑑定依頼する場合があります。長期間の契約では地代が多少違うだけでも大きな差額になりますし、ひいては土地の価値にも影響しかねません。

しかしながら、借地権の賃料相場を調べ、適正地代を自分自身で調べることは難しいものです。
借地権の地代の交渉がある場合、不動産鑑定士に依頼することは有効だと言えます。

テナントの賃料改定

借地権の地代もそうですが、テナントの新規賃料設定や継続賃料改定は専門的な知識が求められます。新規賃料を高く設定しすぎれば入居者が見つからないだけなので募集賃料の引き下げを試みれば良いですが、低く設定しすぎてしまったら後から賃料を上げることは容易ではありません。

その場合、不動産鑑定士の助言で適正な賃料を導き出せます。テナント側からすると、景気が悪くなり周辺に空き物件が増え、賃料が下がってきていると感じたのならば、更新時に賃料の引き下げ交渉を検討することもあるでしょう。

その場合、賃料が安ければ安いほど良いとしても、実際に下がるのは現賃料と相場賃料の中間程度が落とし所になります。
テナントの賃料改定交渉でも不動産鑑定士の鑑定は、現実的な賃料と、双方にとって合理的な落とし所になる賃料を提案してくれるでしょう。

不動産鑑定のよくある質問

最後に不動産鑑定士がよく聞かれる内容について説明します。

鑑定評価書の有効期間

不動産鑑定士が作成した鑑定評価書は有効期限が定められていませんが、おおむね3か月程度ならば有効です。評価書を発行してもらって1年程度であれば、依頼した不動産鑑定士に「価格時点修正の意見書」を作成してもらうことで再度評価書は有効になります。発行から長い時間が経った鑑定評価書は参考資料程度として保管しておきましょう。

不動産の相場や市場は常に変動するために、評価書の期間が短いことは仕方のないことです。

鑑定の流れと期間

不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する場合、最初は鑑定事務所への相談から始まります。
その後、見積もりを依頼し、見積や業務内容に合意したら業務委託契約を締結します。
契約後は不動産鑑定士に以下の必要書類を提出します。

・固定資産税、都市計画税の納税通知書
・登記事項証明書(登記簿謄本)
・地図(案内図・公図)
・地積測量図
・建物がある場合は建物の図面(平面図、立面図、断面図)
・道路台帳
・上下水管の配管図、台帳
・ガス配管図

これらの書類は役所や法務局で取得できます。
書類提出後は不動産鑑定士が現地調査や役所調査などを進め、各資料から基準に基づいて評価を進めます。

必要書類の収集にどれくらい時間がかかるかにもよりますが、契約完了から1週間から2週間程度で不動産鑑定評価書は納品されます。
急いでいる場合には簡易鑑定という方法で、2日から3日で鑑定内容を知ることも可能です。

まとめ

不動産鑑定士は不動産を鑑定して、不動産が持つ経済価値を鑑定することが主な業務で、その知識を活かして不動産のコンサルティング業務にも取り組みます。

鑑定評価の費用は1件20万円から50万円、土地や建物の規模、評価額によって費用は変動し、相談の場合は30分あたり5,000円の相談料が相場です。

不動産鑑定評価や相談を依頼するタイミングは、不動産取引や賃料、地代の変更をするタイミング、または遺産分割協議で相続不動産の評価額を算出するタイミングです。
どのタイミングでも信頼性の高い鑑定評価が必要な場合に不動産鑑定士に鑑定を依頼します。

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