2023.05.25
土地の購入
土地の売却は「土地評価額」が重要!調べ方や計算方法を解説
住み替えやライフスタイルの変化などで、所有している土地の売却を考える人は少なくありません。
土地を売却する際には「土地評価額」が重要です。
土地評価額を活用することで、土地の売却価格の目安を知ることができます。
この記事では、以下のポイントについて解説します。
・土地評価額とは何か
・土地評価額の種類
・売却価格の計算に必要な土地評価額の調べ方
・土地評価額を用いた売却価格の計算方法
・土地の売却に関する相談先
土地を適切な価格で売却するために、土地評価額について知識を付けておきましょう。
土地評価額とは
土地評価額は、土地の価値を金額で表したものです。
土地の売却価格を設定したり、相続にかかる税金を計算したりする際に参考になります。
土地評価額は、目的ごとに以下の6つを使い分けます。
・実勢価格
・公示地価
・基準地価
・固定資産税評価額
・相続税路線価
・鑑定評価額
それぞれ詳しく見ていきましょう。
実勢価格
実勢価格は、土地の売却価格の目安を知りたいときに参考になる評価額です。
土地が実際に売買されるたびに価格が決まります。
国土交通省が運営している「土地総合情報システム」では、実勢価格を調べることが可能です。
サイト内にある「不動産取引価格情報検索」から、調べたい土地の条件を入力し、検索します。
実勢価格は、あくまでも「過去におこなわれた土地取引の例」です。
取引された時期によっては、周辺環境やエリアの相場などが現在と異なり、売却価格の参考にならない可能性もゼロではありません。
実勢価格を土地の売却価格の参考にする際には、近くの土地の実勢価格や、次に解説する公示地価などをあわせて見ることもあります。
公示地価
公示地価は実勢価格と同様に、土地の売却価格の目安を知りたいときに参考になる評価額です。
実勢価格と異なる点としては、土地の売り手や買い手の立場ではなく、中立の立場から決められていることが挙げられます。
また公示地価は以下のような土地を標準地として、2人以上の不動産鑑定士によって定められます。
・都市計画区域にある土地
・土地の売買が見込まれる土地
毎年1月1日時点の評価額が、毎年3月に国土交通省から発表される流れです。公示地価は、土地総合情報システムにある「地価公示・都道府県地価調査」から調べることができます。
基準地価
基準地価は、以下の点において公示地価と共通しています。
・土地の売却価格の目安を知ることができる
・土地の売り手や買い手の立場ではなく、中立の立場から決められている
基準地価の特徴で公示地価と異なる点は、以下のとおりです。
・1人以上の不動産鑑定士によって定められる
・毎年7月1日時点の評価額である
・毎年9月に都道府県によって発表される
・都市計画区域外にある土地も評価の対象となる
基準地価と公示地価を総称して「公示価格」と呼ぶこともあります。
固定資産税評価額
固定資産税評価額は、不動産の固定資産税を計算することを目的とした評価額です。
不動産鑑定士が不動産を評価したうえで、各自治体が定めています。
固定資産税とは、土地や建物などの不動産を所有している人が納める税金のことです。
固定資産税評価額は、3年に1度のペースで見直されており、公示地価の70%ほどの金額が目安です。
自治体から送られてくる固定資産税の課税明細書に記載されています。
相続税路線価
相続税路線価は、道路に面している土地の1㎡あたりの評価額です。
土地にかかる相続税や贈与税を計算するときに使用します。
毎年1月1日時点での評価額を、国税庁が毎年7月に発表しています。
相続税路線価の目安は、公示地価の80%ほどです。
国税庁が運営している「路線価図・評価倍率表」にて、財産評価基準として確認できます。
鑑定評価額
鑑定評価額は、土地の客観的な価値を知りたいときに参考になる評価額です。
以下のような項目を基に、不動産鑑定士によって評価額が計算されます。
・土地そのもの(地質や地盤など)の状態
・周辺にある施設
・地域の人口
・日当たりや風通し
鑑定評価額における評価は、不動産鑑定士にしか許可されていません。
評価額を知りたいタイミングで、不動産鑑定士に評価を依頼します。
売却価格の計算に必要な土地評価額の調べ方
土地の売却価格の目安を計算する際には、土地の面積に加えて、以下いずれかの土地評価額を調べる必要があります。
・公示地価
・固定資産税評価額
・相続税路線価
それぞれの調べ方について、詳しく見ていきましょう。
土地の面積の調べ方
土地の面積は、固定資産税の納税通知書に記載されています。
納税通知書が確認できない場合は「地積測量図」で調べることも可能です。
地積測量図は、法務局の窓口に申請書を提出すると取得できます。
手数料として450円の収入印紙を購入し、申請書に貼り付けます。
申請書には、以下のような情報の記入が必要です。
・申請者の住所・氏名
・土地の住居表示・地番
土地の住居表示とは、住民票などに記載されている住所のことです。
地番は土地に付けられた番号のことで、法務局にある「ブルーマップ」という地図で確認できます。
また地積測量図は、郵送やインターネットで請求することもできます。
郵送で請求する場合、土地を管轄する法務局宛に以下2点を郵送することで、地積測量図を送ってもらえる仕組みです。
・収入印紙を貼り付けた申請書
・切手を貼り付けた返送用の封筒
インターネットで請求する場合は、法務省が運営する「登記・供託オンライン申請システム登記ねっと 供託ねっと」を利用してください。
公示地価の調べ方
公示地価は、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」にアクセスし、以下の流れで調べます。
①「地価公示・都道府県地価調査」を開く
②地図から土地の都道府県と市区町村を選ぶ
③条件を設定し、検索する
④調べたい土地の近くにある標準地を探す
⑤「価格(円/m²)」を確認する
⑤の「価格(円/m²)」が、土地1㎡あたりの評価額です。
固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額は、固定資産税の課税明細書にある「価格」の欄に記載されています。
固定資産税の課税明細書は、毎年1月1日時点のものが4月〜6月頃に届きます。
納税通知書とあわせて、自治体から送られるケースが多いです。
また固定資産税評価額は、固定資産課税台帳からも確認できます。
固定資産課税台帳は、土地を管轄する役所の窓口で申請することで閲覧できます。
相続税路線価の調べ方
相続税路線価は、国税庁のホームページにある「路線価図・評価倍率表」にアクセスし、以下の流れで調べます。
①地図から土地がある都道府県を選ぶ
②「路線価図」を選ぶ
③土地がある市区町村を選ぶ
④表示される路線価図から土地を確認する
④の路線価図で「400D」のように記載されているものが、土地1㎡あたりの相続税路線価です。
相続税路線価は、千円単位で記載されています。
たとえば「400D」の場合、土地1㎡あたりの相続税路線価は、400×1,000で400,000円です。
アルファベットは、土地における借地権割合を表しています。借地権とは、土地を借りている人が持つ権利のことです。
つまり借地権割合は「土地の借り手と貸し手に、それぞれ何%ずつの権利があるか」という割合です。借地権割合が大きいほど、借り手側の権利が大きくなります。
土地評価額を用いた売却価格の計算方法
この章では、土地の売却価格の目安を、土地評価額から計算する方法を解説します。
活用する土地評価額によって計算式が変わるため、1つずつ見ていきましょう。
公示地価を用いた計算方法
公示地価を活用して、土地の売却価格の目安を計算する場合、以下のように計算します。
【 公示地価 × 土地面積 × 1.1 = 売却価格の目安 】
1.1が掛けられている理由は、公示地価の1.1倍ほどの価格で土地が売買されるケースが多いためです。
たとえば公示地価が50万円で、土地面積が100㎡の場合における計算式は、以下のとおりです。
【 50万円 × 100㎡ × 1.1 = 5,500万円 】
この場合、5,500万円を売却価格の目安とします。
固定資産税評価額を用いた計算方法
固定資産税評価額から土地の売却価格の目安を計算する場合、以下のように計算します。
【 固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1 = 売却価格の目安 】
固定資産税評価額は土地1㎡あたりの評価額ではなく、土地全体の評価額です。
そのため、計算式において土地面積を掛ける必要はありません。
また固定資産税評価額は公示地価の70%ほどの金額となるため、計算式では0.7で割っています。
たとえば固定資産税評価額が3,000万円の場合、売却価格の目安の計算式は以下のとおりです。
【 3,000万円 ÷ 0.7 × 1.1 = 4,714万円 】
この場合、土地の売却価格は4,700万円ほどが目安となります。
相続税路線価を用いた計算方法
相続税路線価を活用し、土地の売却価格の目安を計算する式は、以下のとおりです。
【 相続税路線価 × 土地面積 ÷ 0.8× 1.1 = 売却価格の目安 】
公示地価を用いた計算方法と似ていますが、相続税路線価が公示地価の80%ほどの金額となるため、0.8で割っています。たとえば相続税路線価が40万円で、土地面積が100㎡の場合、売却価格の目安は以下のように計算します。
【 40万円 × 100㎡ ÷ 0.8× 1.1 = 5,500万円 】
この場合、売却価格は5,500万円ほどであると想定しておきましょう。
土地の売却に関する相談先
土地を売却する際には、売却価格のほかにもわからないことが多く出てくるものです。
困ったときの相談先としては、以下の場所や人が挙げられます。
・不動産会社(不動産全般)
・税務署・税理士(税金関係)
・法務局・司法書士(登記関係)
・弁護士(トラブル関係)
このなかでも、まずは不動産会社への相談がおすすめです。
不動産会社をおすすめする理由や、不動産会社選びのポイントについて、以下に詳しく解説します。
不動産会社をおすすめする理由
土地の売却における相談先に不動産会社をおすすめする理由は、以下のとおりです。
・土地を査定してくれる
・土地の買い手を探してくれる
・売買契約をサポートしてくれる
不動産会社に土地の仲介を依頼する場合、仲介手数料がかかります。
しかし仲介手数料は成功報酬のため、契約を結ぶまでは支払う必要がありません。
土地の査定や相談は、無料で対応してもらえるのです。
まずは不動産会社に土地を査定してもらい、今後の流れなどについて相談することで、売却をスムーズに進められます。
不動産会社選びのポイント
不動産会社を選ぶ際には、複数の会社に相談しましょう。
土地の査定額は不動産会社によって異なるため、比較することが大切です。
大手の不動産会社と地元の小さな不動産会社など、特徴が異なる不動産会社同士を比べるのもおすすめです。買い手の見つけ方や対応の手厚さなどにおいて、それぞれにメリット・デメリットがあるため、自身に適した不動産会社を選べます。
また担当者との相性も、土地の売却が成功するか否かに関わるポイントです。
相談しているときの態度や提案力、知識量などをチェックして、信頼できる担当者がいる不動産会社を選んでください。
土地評価額|まとめ
土地評価額は、土地の価値を金額で表したものです。
土地の売却価格の計算や相続税の計算など、目的ごとに6種類の土地評価額を使い分けます。
土地の売却価格の目安を知りたい場合は、公示地価や固定資産税評価額などの不動産評価額と、土地の面積を用いて計算します。しかし実際の取引では交渉も入るため、計算した売却価格はあくまでも目安である点に注意が必要です。
土地を売却する際の相談先としては、不動産会社がおすすめです。
不動産会社に相談することで、土地の査定だけでなく、買い手の募集や契約におけるサポートも受けられます。
土地の売却を成功させるためには、土地評価額について理解したうえで、信頼できる不動産会社に相談しましょう。