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2023.01.11

不動産の購入

不動産相続登記の必要書類は?相続のケースごとに入手方法も解説

不動産を相続する場合「相続登記」という手続きがあります。
これは、もともと不動産を所有していた人(被相続人)から相続を受けた人(相続人)に名義を変更する手続きです。

相続登記は、2024年4月1日から義務化されます。

不動産の相続登記をするうえでは、以下のような疑問を持つ人が多いです。
「不動産相続登記にはどんな書類が必要なんだろう?」
「必要書類はどこで入手できるんだろう?」

本記事では、不動産相続登記に必要な書類の種類や入手方法、費用などを相続のケースごとに解説します。

不動産相続登記の必要書類

不動産の相続登記には「どのような相続であっても必要になる書類」と、相続のケースによって「追加で必要になる書類」があります。

「どのような相続であっても必要になる書類」の入手方法と費用は、以下のとおりです。

書類名 入手方法 費用
被相続人 出生から死亡までの戸籍謄本 本籍地の市区町村役場(役所) 450円/通
住民票の除票 最終居住地の市区町村役場(役所) 300円/通
相続人 全員の戸籍謄本 本籍地の市区町村役場(役場) 450円/通
不動産取得者の住民票 居住地の市区町村役場(役所) 300円/通
その他 不動産の固定資産評価証明書 不動産所在地の
市区町村役場(役所)
200〜400円
/通
登記申請書 法務局のHP 0円
収入印紙 コンビニ・郵便局など 場合による
返信用封筒 数百円

 

不動産相続のケース

不動産の相続は、大きく以下3つのケースに分けられます。
・法定相続分による相続
・遺産分割協議による相続
・遺言書による相続

相続のケースによって「追加で必要になる書類」が変わります。

相続ケース別の必要書類

この章では、各相続ケースの概要と必要書類について解説していきます。
書類を用意する際の漏れを防止するために「どのような相続であっても必要になる書類」に「追加で必要となる書類」を加える形で表記していきます。

法定相続分による相続

法定相続分とは、民法で定められている相続人ごとの相続割合のことです。
相続割合は、被相続人との関係性によって以下のように定められています。

・相続人が「配偶者」のみ:配偶者100%
・相続人が「配偶者」と「子」:配偶者1/2、子は残り1/2を全員で分配
・相続人が「配偶者」と「父母」:配偶者2/3、父母は残り1/3を全員で分配
・相続人が「配偶者」と「兄弟姉妹」:配偶者3/4、兄弟姉妹は残り1/4を全員で分配

法定相続分による相続の場合、必要書類は「どのような相続であっても必要になる書類」のみとなります。

書類名 入手方法 費用
被相続人 出生から死亡までの戸籍謄本 本籍地の市区町村役場(役所) 450円/通
住民票の除票 最終居住地の市区町村役場(役所) 300円/通
相続人 全員の戸籍謄本 本籍地の市区町村役場(役場) 450円/通
不動産取得者の住民票 居住地の市区町村役場(役所) 300円/通
その他 不動産の固定資産評価証明書 不動産所在地の
市区町村役場(役所)
200〜400円
/通
登記申請書 法務局のHP 0円
収入印紙 コンビニ・郵便局など 場合による
返信用封筒 数百円

 

遺産分割協議による相続

遺産分割協議とは、相続人全員で「誰が、どの遺産を、どのような割合で受け取るか」を相談によって決めることです。この協議が合意に至ってはじめて、相続登記が可能となります。

遺産分割協議がまとまったら、自分たちで「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員で実印による署名捺印をします。相続人全員の印鑑証明も必要です。

遺産分割協議による相続の場合、以下の書類が必要です。

書類名 入手方法 費用
被相続人 出生から死亡までの戸籍謄本 本籍地の市区町村役場(役所) 450円/通
住民票の除票 最終居住地の市区町村役場(役所) 300円/通
相続人 全員の戸籍謄本 本籍地の市区町村役場(役所) 450円/通
不動産取得者の住民票 居住地の市区町村役場(役所) 300円/通
全員の印鑑証明書 300円/通
その他 不動産の固定資産評価証明書 不動産所在地の
市区町村役場(役所)
200〜400円
/通
登記申請書 法務局のHP 0円
遺産分割協議書(署名捺印)
収入印紙 コンビニ・郵便局など 場合による
返信用封筒 数百円

 

遺言書による相続

遺言書には3種類あり、形式によっては「その遺言書が本物である」ということを証明する手続きが必要になります。なぜなら遺言書には法的に大きな影響力があり、改ざんや差し替えといった不正があってはならないためです。

・公正証書遺言
公証役場で2名以上の証人が立会い、公証人が作成する遺言書です。
第三者が証人となって本物であることを証明しているため、検認手続き(遺言書が本物であることを証明する手続き)は不要です。

・秘密証書遺言
作成方法は公正証書遺言と同じですが「中身を誰にも知らせない」という点が異なります。
遺言書を作成した本人以外は、公証人や立ち会った証人すら中身を知りません。
このような性質から、家庭裁判所による検認手続きが必要となります。

・自筆証書遺言
被相続人が自ら作成する遺言書です。
費用もかからず手軽に作成できる反面、偽造や紛失、未発見などのリスクが高い形式です。
法務局に預けていなかった場合は、家庭裁判所による検認手続きが必要となります。

遺言書による相続の必要書類は、以下のとおりです。

書類名 入手方法 費用
被相続人 出生から死亡までの戸籍謄本 本籍地の市区町村役場(役所) 450円/通
住民票の除票 最終居住地の市区町村役場(役所) 300円/通
相続人 全員の戸籍謄本 本籍地の市区町村役場(役所) 450円/通
不動産取得者の住民票 居住地の市区町村役場(役所) 300円/通
その他 不動産の固定資産評価証明書 不動産所在地の
市区町村役場(役所)
200〜400円
/通
登記申請書 法務局のHP 0円
収入印紙 コンビニ・郵便局など 場合による
返信用封筒 数百円
遺言書

 

相続の例外ケース

ここまでに解説した3つの相続ケースに当てはまらないものを、例外ケースとして解説します。
事例が多いため、ここからは「どのようなケースでも必要になる書類」は省略し「追加で必要になる書類」のみ記載します。

遺言によって法定相続人以外が相続するケース

遺言によって法定相続人以外が相続するケースを「遺贈」と言います。
このケースでは、実際に手続きを行う「遺言執行者」が選任されているかどうか、どのように選任されたかによって必要書類が異なります。

書類名 入手方法 費用
遺言書
遺言執行者の印鑑証明書
(遺言で選任されていた場合)
居住地の市区町村役場(役所) 300円/通
遺言執行者選任審判謄本
(家裁の審判で選任された場合)
家庭裁判所 800円/通
相続人の印鑑証明書
(遺言執行者が未選任の場合)
居住地の市区町村役場(役所) 300円/通

 

相続人が海外在住の日本人であるケース

相続人が海外在住の日本人である場合、一部の例外を除き住民票や印鑑証明書は発行できません。
そのため、代わりに以下の書類を用意します。

書類名 入手方法 費用
在留証明書 領事館 1,200円/通
署名証明書(サイン証明書) 1,700円/通

国によっては印鑑証明書の発行ができる場合もあるため、現地の領事館に確認しましょう。

相続人が外国人であるケース

相続人が外国人であっても、日本に居住していれば住民票や印鑑証明書が発行できるため、通常の相続手続きが可能です。相続人が海外に在住している場合は、署名証明書(サイン証明書)や宣誓供述書が必要になります。

被相続人が外国人であるケース

被相続人が外国人である場合は、日本の法律は適用されず、本籍のある国の法律が適用されます。

また、日本以外の多くの国では「戸籍制度」がありません。場合によっては「相続人が誰か」というところから日本の法律と異なるため、よく調べたうえで対応する必要があります。

相続人が相続登記前に亡くなったケース

相続人が相続登記を行う前に亡くなった場合、相続人の相続手続きを同時に行うことになります。
このようなケースを「数次相続」と言い、以下の書類が必要になります。

書類名 入手方法 費用
亡くなった相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 本籍地の市区町村役場(役所) 450円/通
遺産分割協議書
(遺産分割協議をした場合のみ)
自分で作成する 0円/通
相続人全員の印鑑証明書
(遺産分割協議をした場合のみ)
居住地の市区町村役場(役所) 300円/通

なお、相続人の戸籍謄本が登記名義人である被相続人の戸籍謄本の内容と被る場合は、新たに取得する必要はありません。

相続放棄したケース

相続を放棄した場合、相続人にはカウントされないため、分割協議などにも参加する必要はありません。ただ、相続を放棄したことを第三者に証明する以下の書類が必要となります。

書類名 入手方法 費用
相続放棄申述受理証明書 家庭裁判所 150円/通
(収入印紙)

相続放棄による繰り上がりなどで相続人が変わる場合は、新たな人物が相続に関与することになるため、注意が必要です。

必要書類の役割

ここまで、相続ケースごとの必要書類を紹介してきました。
この章では、必要書類のなかで重要なものを取り上げ、概要をまとめます。

各書類がどのような役割を持つのか、詳しく見ていきましょう。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本

「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」は、以下の2点を証明するために必要な書類です。
・相続が発生したこと
・相続人が誰なのか

被相続人が生まれてから亡くなるまでの間に作られた、すべての戸籍を集めなければなりません。
亡くなったときの戸籍だけでは、すべての相続人を証明できないためです。

戸籍は、結婚や離婚などのタイミングで新たに作られます。

被相続人の住民票の除票

「被相続人の住民票の除票」とは、被相続人が亡くなったことにより、住民登録から抹消されたあとの住民票のことです。登記簿と戸籍それぞれに記載してある被相続人が、同じ人であることを証明するために必要な書類です。

住民票の除票は、被相続人が亡くなったときに住んでいた市区町村の役場で発行してもらいます。また、転居によって登記簿と住民票の住所が異なる場合、転居したことを証明しなければなりません。

転居したことは、戸籍の附票を用いて証明することが可能です。
戸籍の附票には、住民票の移り変わりが記録されています。

相続人全員の戸籍謄本

「相続人全員の戸籍謄本」は、相続人が生きていることを証明するために必要な書類です。「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」のように、生まれたときまでさかのぼる必要はなく、現在の戸籍謄本だけで足ります。

また、被相続人が亡くなった時点の戸籍謄本に記載されている人は、戸籍謄本を用意する必要はありません。

不動産取得者の住民票

不動産を相続して新たな名義人となる人は、住民票を用意する必要があります。不動産の登記簿には新たな名義人の住所が記載されるため、現在の住所を証明しなければならないのです。

住民票は、本籍地が記載されているものを取得します。

不動産の固定資産評価証明書

「固定資産評価証明書」は、不動産の評価額を証明する書類のことです。
不動産の評価額は、相続登記の際に納める登録免許税の計算に使用します。

固定資産評価証明書には、不動産に関する以下のような項目が記載されています。

・所有者
・所在地
・評価額
・面積

固定資産評価証明書は、市区町村の役場で取得可能です。

登記申請書

「登記申請書」は、相続登記を申請するために、法務局に提出する書類です。
法務局のホームページからダウンロードできます。

登記申請書には、以下のような情報を記載します。

・相続人の住所や氏名
・課税価格
・不動産の所在地や面積

相続人全員の印鑑証明書

「相続人全員の印鑑証明書」は、遺産分割協議書に捺印された印鑑が、実印であることを確認するために必要な書類です。遺産分割協議書については、次に解説します。

印鑑証明書は、市区町村の役場で取得可能です。

遺産分割協議書

「遺産分割協議書」は、遺産分割協議で決定した内容を証明する書類です。
相続人全員が合意のうえ、署名捺印する必要があります。

遺産分割協議書に用いる印鑑は、実印でなければなりません。
実印であることの証明として、印鑑証明書も必要です。

遺言書

「遺言書」は、被相続人の意思を確認するための書類です。
遺言書がある場合は、その内容に沿って相続が行われます。

遺言書を見つけた際には、勝手に開封してはいけません。
改ざんや差し替えを防止するため、遺言書は家庭裁判所で開封することが民法で定められています。

不動産相続登記の手続き方法

不動産相続登記の手続きは、以下の4ステップで行います。

1.相続する不動産を確認する
法務局やオンラインで登記事項証明書(登記簿謄本)を閲覧し、不動産の状態や権利関係を確認します。

2.相続する人を確定する
前述のとおり、以下の3パターンで確定します。
・法定相続分
・遺産分割協議
・遺言書

3.相続登記の必要書類を集める
本記事の内容は、このステップを取り上げたものです。

4.管轄の法務局に提出・申請する
書類が集まったら「不動産の所在地を管轄している法務局」に提出して申請しましょう。
1週間〜10日程度で登記が完了し、登記識別情報や登記完了証を受け取ります。

2つの相続登記方法

1人で相続する場合と、遺産分割協議などによって2人以上で相続する場合で、それぞれ登記方法が異なります。

・1人で相続:単独登記
不動産の名義を、相続人1人に変更するシンプルな登記です。所有者が1人のため、相続後にその不動産を売却したり、貸し出したりする場合の判断は1人で行えます。

・2人以上で相続:共有登記
共有登記の場合は、申請書にそれぞれの持ち分(所有する割合)を記載して登記します。
単独登記とは異なり、相続を受けた不動産を売却したり貸し出したりする場合、共同所有者全員の同意が必要です。また、次の相続が複雑になるというデメリットもあります。

不動産相続登記にかかる費用

相続登記を行う際には「登録免許税」という税金を納める必要があります。
登録免許税の金額は、不動産評価額の0.4%です。

相続する不動産の評価額が3,000万円だった場合、以下の式で登録免許税を計算します。
3,000万円×0.4%=12万円

また登記手続きを司法書士に依頼する場合、報酬を支払う必要があります。
各書類を取得する際には、手数料も必要です。

これらの費用をまとめて「登記費用」と言います。

不動産相続登記によくある疑問

この章では、不動産相続登記に関する「よくある疑問」について解説します。

相続登記を代理人に頼みたいときは?

委任状があれば、相続登記を代理人に頼むことが可能です。
登記を司法書士に代行してもらう場合も「代理人」に当たります。

委任状のテンプレートは、法務局のホームページからダウンロードできます。

証明書には有効期限がある?

住民票や印鑑証明書は「有効期限3ヶ月」と思われがちですが、有効期限はありません。
ただ「情報が古く、現在と異なる可能性がある」ということが不都合な場合、提出先が独自に有効期限を設定していることが多く、相続手続きにおいてもその傾向があります。

戸籍謄本にも有効期限はありませんが、被相続人が亡くなったあとに作成されたものでなければならないため、注意が必要です。

提出した書類の原本がほしい

不動産相続登記の手続きに必要な書類は、基本的に原本で提出します。
また、何もしなければ原本は戻ってきません。

原本を戻してほしい場合は「原本還付」という手続きをする必要があります。

戸籍謄本などの証明書が取得できないときは?

証明書には保存期間が設定されているため、期間が過ぎると破棄されてしまいます。
古い書類だと、破棄されていて取得できないケースも珍しくありません。

このような場合、市区町村の証明があれば手続きが可能です。
書類によっては代替手段が用意されているものもあります。

不動産相続登記の必要書類|まとめ

不動産相続登記の必要書類は「どのような相続であっても必要になる書類」と、ケースによって「追加で必要になる書類」があります。本記事を参考に、自身の相続ケースに合った必要書類を集めましょう。

登記の申請先によっては、提出する書類に有効期限が設けられている可能性があります。
また戸籍謄本は、被相続人が亡くなったあとに作成されたものでなければならないため、注意が必要です。

相続登記には、登録免許税などの費用もかかります。
登記手続きの流れを把握し、余裕を持って必要書類と費用を用意しておくことが大切です。

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