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2023.05.22

不動産の購入

宅地建物取引業法ってなに?知っておくべきポイントを解説!

土地や建物などの売買を不動産会社に依頼する場合は「宅地建物取引業法」について知っておくことが大切です。宅地建物取引業法は、宅地建物取引業に関するルールを定めた法律で、不動産取引が正しくおこなわれることを目的としています。

宅地建物取引業法の知識があれば、ルールを守らない業者に騙されるリスクを減らすことができます。
この記事で解説するポイントは、以下のとおりです。

・そもそも宅地建物取引業とは何か
・宅地建物取引業と不動産業の違い
・宅地建物取引”業法”について
・宅地建物取引”業者”について

知識を付けて、不安のない不動産取引をおこないましょう。

宅地建物取引業とは

宅地建物取引業とは、名前のとおり「宅地や建物を取引する業」のことです。
この章では、基礎知識として以下のポイントを解説します。

・建物と宅地の定義
・取引の定義
・業の定義
・宅地建物取引業と不動産業の違い

それぞれ詳しく見ていきましょう。

建物と宅地の定義

建物とは、住宅や事務所、倉庫などを指します。
柱と壁の上に屋根があれば建物です。

宅地は「一戸建て住宅を建てる土地」というイメージを持たれやすいですが、宅地建物取引業における宅地は、以下の3つを指します。

・建物が建っている土地
・建物をこれから建てる目的で取引される土地
・用途地域内の土地

用途地域とは、計画的な街づくりをおこなう地域のことです。
使い道ごとに13のエリアに分けられており、建てられる建物の規模や高さ、種類などが決められています。

取引の定義

宅地建物取引業における「取引」は、以下3パターンです。

・自身が所有する宅地や建物の売買・交換
・他人が所有する宅地や建物の売買・交換・貸借の代理
・他人が所有する宅地や建物の売買・交換・貸借の媒介

代理と媒介の違いは「代理人として契約を結ぶかどうか」です。代理の場合は、宅地や建物を売る人などの代理人として、契約を結びます。

一方で媒介は、不動産取引の当事者同士をマッチングさせるだけで、代理人として契約を結ぶことはありません。

業の定義

宅地建物取引業における「業」とは、不特定多数の人に対して、繰り返し何度も取引をおこなうことです。自社の従業員だけに宅地や建物を販売する場合、業には当てはまりません。販売する相手が不特定多数ではないためです。

業に当てはまる場合、免許が必要になります。

宅地建物取引業と不動産業の違い

宅地建物取引業と不動産業は、どちらも「不動産に関する業」ですが、意味が少し異なります。

宅地建物取引業は、先ほど解説したとおり「宅地や建物を取引する業」です。取引内容としては売買や交換が挙げられます。貸借の取引は、代理または媒介のみです。

一方で不動産業は、宅地建物取引業でおこなう取引に加えて、以下のようなこともおこないます。

・分譲マンションや賃貸物件の管理
・賃貸物件の経営

つまり不動産業のうち、特定の取引だけを宅地建物取引業と呼ぶのです。

宅地建物取引”業法”とは

宅地建物取引業法とは「宅地建物取引業をおこなう際に適用される法律」のことです。
この章では、宅地建物取引業法のなかでも、不動産の売り手や買い手(または貸し手や借り手)に深いかかわりがあるポイントを解説します。

具体的には、以下の3つです。

・宅地建物取引士
・重要事項説明
・報酬額の制限

1つずつ詳しく見ていきましょう。

宅地建物取引士

宅地建物取引士とは、以下の条件をクリアした人のことです。

・宅地建物取引士の資格試験に合格していること
・都道府県知事の資格登録を受けていること
・宅地建物取引士証の交付を受けていること

宅地建物取引業をおこなう事務所には、従業員5人に対して1人以上の宅地建物取引士を置かなければなりません。従業員が6人〜10人の場合は、2人以上の宅地建物取引士が必要ということです。

宅地建物取引士にしかできない業務

以下3つの業務は、宅地建物取引士にしかできません。

・契約者する人に重要事項説明をおこなうこと
・重要事項説明書に記名押印すること
・37条書面に記名押印すること

いずれも不動産取引において重要な業務であるため、不動産のプロである宅地建物取引士がおこなうのです。

37条書面

37条書面とは、不動産取引における契約書のことです。
宅地建物取引業法の第37条に定められており、以下のような事項が書かれています。

・当事者や不動産の情報
・取引にかかる代金や支払い時期
・不動産を引き渡す時期
・移転登記申請の時期
・契約の解除や違約金に関する定め

37条書面には、宅地建物取引士の記名押印が必要です。
しかし、以下の業務については、宅地建物取引士以外の人がおこなっても問題ありません。

・37条書面に書かれている内容の説明
・契約を結んだあとの37条書面の交付

重要事項説明

重要事項説明は、名前のとおり「不動産取引に関する重要なことの説明」です。
宅地建物取引業法の第35条で定められています。

重要事項説明は、契約を結ぶ前に宅地建物取引士がおこないます。
不動産を買う人や借りる人は、重要事項説明を聞いて納得したうえで、契約に進むのです。

宅地建物取引士は重要事項説明をする際に、宅地建物取引士証を見せる義務があります。
また重要事項説明は口頭だけでなく、重要事項説明書を交付しなければなりません。

重要事項説明書には、以下のような事項が書かれています。

・登記簿上の権利や名義人
・法令(都市計画法や建築基準法など)に基づく制限
・電気・ガス・飲用水の供給施設の状況
・契約の解除や違約金に関する定め
・建物状況調査の実施状況や結果

重要事項説明書は「35条書面」とも呼び、宅地建物取引士の記名押印が必要です。

報酬額の制限

報酬額の制限とは、不動産取引において宅地建物取引業者が受け取る報酬額に設けられた上限のことです。宅地建物取引業法の第46条で定められています。

報酬を支払うのは、不動産の売り手や買い手(または貸し手や借り手)です。
宅地建物取引業者の代理や媒介によって契約が成立した際に、報酬を支払います。

宅地建物取引業者に支払う報酬のことを「仲介手数料」と呼ぶこともあります。
報酬額の計算方法について、売買契約と賃貸借契約に分けて見ていきましょう。

売買契約時に支払う報酬

宅地建物取引業者に不動産の媒介を依頼し、売買契約が成立した際の報酬額は、以下のように計算します。

(不動産の取引価格 × 3% + 6万円) + 消費税 = 報酬額

たとえば消費税が10%で、4,000万円の不動産を売却した場合における報酬額の計算式は、以下のとおりです。

(4,000万円 × 3% + 6万円) × 1.1% = 138.6万円

この場合、宅地建物取引業者に支払う報酬額の上限が138.6万円ということになります。
また代理を依頼した場合の報酬額の上限は、媒介を依頼した場合の2倍です。

賃貸借契約時に支払う報酬

宅地建物取引業者に貸借の媒介を依頼し、賃貸借契約が成立した際の報酬額は、家賃の1.1ヶ月分が上限です。たとえば家賃10万円の部屋を借りた場合、最大11万円の報酬を宅地建物取引業者に支払うことになります。

正確には物件の貸し手からの報酬と、借り手からの報酬を合計した金額が、家賃の1.1ヶ月分までとされています。承諾を得ていない場合、借り手または貸し手の片方から受け取れる報酬額の上限は、家賃の0.55ヶ月分です。

また貸借の代理を依頼した場合の報酬額も、家賃の1.1ヶ月分までとされていますが、内訳は問われません。

宅地建物取引”業者”とは

宅地建物取引業者とは「免許を受けたうえで宅地建物取引業をおこなっている業者」のことです。
この章では、宅地建物取引業者について以下のポイントを解説します。

・免許権者
・免許の基準
・義務
・禁止事項

それぞれ見ていきましょう。

免許権者

宅地建物取引業の免許を与える行政機関を「免許権者」といいます。

宅地建物取引業の免許権者は、国土交通省または都道府県です。
複数の都道府県に事務所がある場合は、国土交通省が免許権者となります。
以下の場合の免許権者は、都道府県です。

・1つの都道府県内に複数の事務所がある
・事務所が1つしかない(本店のみ)

免許を受けた宅地建物取引業者の情報は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で確認できます。

免許の基準

宅地建物取引業の免許を受けるためには、以下のような基準を満たす必要があります。

・破産によって権利を失ったり制限されたりしていないこと
・暴力団員でないこと
・過去5年に宅地建物取引業に関する不正をおこなっていないこと
・事務所の従業員5人に対して1人以上の宅地建物取引士を置いていること
・免許の申請において虚偽がないこと

宅地建物取引業の免許を無事に受けられると、会社名や有効期限などが書かれた免許証が交付されます。免許の有効期限は5年です。

義務

宅地建物取引業者は、以下のような義務を果たし、誠実に業務をおこなわなければなりません。

・従業員への教育義務
・守秘義務
・供託所等に関する説明義務

供託所は、宅地建物取引業者が「営業保証金」や「弁済業務保証金」を預けているところです。
消費者は、宅地建物取引業者との取引におけるトラブルで損害を被った場合、供託所から損害金の支払いを受けられます。消費者に供託所のことを知ってもらうため、説明が義務付けられているのです。

営業保証金と弁済業務保証金は、供託所への預け方に違いがあります。
ただ、消費者が受けられる損害金の額は同じです。

禁止事項

宅地建物取引業者は、以下のような行為を禁じられています。

・業務を不当に遅らせること
・事実を隠すこと
・嘘を付くこと
・上限額を超えた報酬を求めること
・手付金の貸し付けなどにより契約を促すこと
・「必ず利益がある」などと断定して誤解させること

違反した宅地建物取引業者には、業務停止処分などの罰則が適用されることがあります。
なぜなら安全な取引ができなくなるためです。

宅地建物取引業者に依頼するときのポイント

宅地建物取引業者に不動産取引の媒介などを依頼する際には、以下のポイントを押さえましょう。

・ルールを守っているか
・担当者の対応に不満はないか
・契約内容に納得できるか

1つずつ解説していきます。

ルールを守っているか

悪い業者を見分けるためには「ルールを守っているかどうか」をよく見ておくことが大切です。

たとえば、事務所に「宅地建物取引業者票(標識)」を掲示していない業者は、ルールを守っていません。「標識の掲示」という義務があるためです。

宅地建物取引業者票には、以下の情報が載っています。

・免許証番号
・免許の有効期限
・会社名
・代表者の氏名
・専任の宅地建物取引士の氏名
・本店の所在地

また、物件の購入希望者が手付金をすぐに用意できないときに、宅地建物取引業者が手付金を立て替えるのも違反です。一見すると違反に思えないような行為でも、禁止事項に該当する可能性があります。

担当者の対応に不満はないか

不動産取引では大きな金額が動くため、担当者との相性も大切です。
担当者の対応に以下のような不満がないか、定期的に振り返りましょう。

・質問に対する回答が的を射ていない
・連絡が遅い
・専門用語を多用するなど、不親切
・高圧的

いくつかの宅地建物取引業者に相談し、担当者の対応を比較してください。

契約内容に納得できるか

重要事項説明書や契約書は、内容に納得したうえでサインをしましょう。
日常生活で使わないような表現が多いため、読み合わせの際に聞き流してしまう人は少なくありません。

認識していた取引内容と、書面に書いてある内容が異なっていたとしても、サインをすることで了承したとみなされてしまいます。わからない箇所があれば、小さなことでも理解できるまで質問してください。

まとめ【主体的な取引が大切】

売買や貸借などの不動産取引を検討する際には、以下の3つについて理解しておきましょう。

・宅地建物取引業:宅地や建物を取引する業のこと
・宅地建物取引業法:宅地建物取引業をおこなう際に適用される法律のこと
・宅地建物取引業者:免許を受けたうえで宅地建物取引業をおこなっている業者のこと

法律には難しい言葉や言い回しが多いため、馴染みがない人にとっては難しく感じるものです。
しかし業者に任せきりにしてしまうと、騙されるなど思わぬトラブルが起こる可能性があります。

この記事で解説したポイントも参考にしながら、不動産取引を主体的におこなうことが大切です。

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