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2022.06.22

不動産の購入

不動産売買で必要な登記事項証明書について徹底解説!

不動産売買を行う際にはさまざまな書類が必要です。必要書類の中の一つに登記事項証明書があります。この登記事項証明書は何種類かあるうえに、呼び名が多くあるため、どの書類が登記事項証明書なのか迷ってしまいます。

また、登記事項証明書は、重要なことが記載されている書類でもあるため、しっかりと内容を把握しておくことも大切です。

本記事では、登記事項証明書とは何か、取得方法・金額、登記事項証明書の見方など、登記事項証明書について解説します。

登記制度と登記の効力

登記事項証明書の内容を解説する前に、そもそも登記とは何かを説明します。登記とは、不動産に関する所有権などの権利の取得や消滅を、第三者に対して権利を主張するために、登記の記録を作り、登記記録を登記所に備え付け、一般に公開する制度のことです。

つまり、この土地は誰のものなのかを一般に主張することができ、不動産の取り引きを安全に行うことを目的としています。

また、登記は一部を除いて義務ではないですが、自分の権利を主張するために行うことが目的のため、登記をしないことにより不利益を被る可能性があります。そのため、登記費用などがかかりますが、登記はしっかりと行っておくことをおすすめします。

登記は義務ではないため、仮に行わなくても罰則などはありません(表示登記は義務)。しかし施行日は未定ですが、相続登記と住所・氏名変更登記については義務化されます。罰則も追加され、施行日以前に相続登記や住所・氏名変更登記をしていない人にも遡及して罰則が科される予定のため、この登記をされていない人は注意が必要です。

登記事項証明書とは?

登記事項証明書について、どのような内容のものなのか、どのような名称や種類があるのかなど内容ごとに分けて解説します。

登記事項証明書の名称と種類

登記事項証明書は、次のような呼び方をします。

・登記事項証明書
・全部事項証明書
・登記簿
・謄本
・登記簿謄本

呼び方は違いますが、すべて一緒の書類です。

現在、登記事項証明書はコンピューターで管理されていますが、昔は紙ベースで管理されていました。紙ベースで管理していたときには、登記簿と呼んでいたため、その名残で登記簿と呼びます。

また、法務局に備えられている登記情報(原本)を書き写して書類を作成していたため、謄本という呼び方をします。今でも、登記事項証明書を登記簿や謄本と呼ぶ人は多くいます。

登記事項証明書の種類

登記事項証明書には、次のような種類があります。

【図表1】

証明書の種類 証明書の内容
全部事項証明書 登記記録に記録された全部の事項が記載されます。
現在事項証明書 登記記録に記載された事項のうち現に効力を有するものが記載されます。
一部事項証明書
(何区何番事項証明書)
請求した一部の登記記録に記載された事項のみ記載されます。
閉鎖事項証明書 閉鎖された登記記録が記載されます。

現在事項証明書は、全部事項証明書より取得金額が安く、全部事項証明書よりも内容を簡略化したものが欲しい場合に取得します。
現在事項証明書は、要約書などと呼ばれることもあります。

一部のマンションなどの登記事項証明書を取得しようとすると、何百ページにもなることがあります。そのため、一部事項証明書として、該当する部屋のみなどの登記事項証明書を取得します。

閉鎖事項証明書は、解体した建物や、合筆して存続しない地番の土地などの登記情報を取得したいときに利用します。過去の履歴を調べることにより、何が建っていたか、土地に建物が建築できるかなどの調査をするために必要な証明書です。

登記事項証明書の取得方法

登記事項証明書の取得方法は、法務局に取りに行く、法務局から郵送してもらう、オンライン(インターネット)で取得するの3つの方法があります。それぞれの方法に分けて解説します。

法務局へ取りに行く

登記事項証明書の取得方法は、次のとおりです。

1.法務局で備え付けられている下記の図表2「登記事項証明書交付申請書」を記入
2.記入した「登記事項証明書交付申請書」を指定の窓口に提出し受付番号を取得する
3.受付番号で呼び出されたら窓口へ行き申請した登記事項証明書の内容を確認
4.登記事項証明書の費用を支払うため印紙を法務局内で購入
5.窓口に戻り登記事項証明書を受け取る

上記が登記事項証明書を取得する主な流れです。

法務局で登記事項証明書の取得方法が分からないという人は、法務局の係員の人に聞けば教えてもらえます。

また、不動産の住所と郵便が届く住所が違う地域があるため、取得したい不動産の住所を事前に確認しておきましょう。もし、取得したい不動産の住所が分からない場合は、法務局の係員の人に尋ね、不動産の住所の調査方法を確認する必要があります。

なお、図表2の記入例は、東京都千代田区霞が関1-1-1に住む、法務太郎さんが、千代田区霞が関1-1-1の土地の登記事項証明書を取得しようとしている例です。

【図表2】

引用:法務局「登記事項証明書 登記簿謄本・抄本交付申請書」
https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/000130851.pdf

法務局から郵送してもらう

法務局から登記事項証明書を郵送してもらう手続きは、次のとおりです。

・図表2「登記事項証明書交付申請書」を記載する
・記載した「登記事項証明書交付申請書」に請求する登記事項証明書1通につき600円の収入印紙を貼付する
・記載し印紙を貼付した「登記事項証明書交付申請書」と切手を貼付した返信用封筒を封筒に入れる
・取得したい不動産の所在を管轄する法務局へ、封筒を郵送する

法務局が遠く、インターネット環境もない場合は、郵送により登記事項証明書を取得すると良いでしょう。

オンラインで取得する

インターネットから登記事項証明書を取得する方法があります。登記情報提供サービスに登録すれば、インターネットから登記事項証明書を取得することができます。

なお、登記情報提供サービスに登録する場合は、登録手数料がかかります。

・個人(登録)利用 300円
・法人(登録)利用 740円

上記のような費用が必要です。

また、登記事項証明書を取得するたびに料金がかかります。

・個人クレジットカード決済
・法人口座引き落とし決済

上記のような登記事項証明書取得費用を支払います。

登記事項証明書の取得金額

登記事項証明書を取得する場合、法務局で取得するのと、オンラインで取得するのとでは、金額に違いがあります。
金額の違いを図表3にまとめました。

【図表3】

取得する書類 取得場所 取得費用
登記事項証明書 法務局 600円
オンライン 332円
登記事項要約書(※1) 法務局 450円
所有者事項証明書(※2) オンライン 142円
公図(地図) 法務局 450円
オンライン 362円
建物図面 法務局 450円
オンライン 362円
測量図 法務局 450円
オンライン 362円

※1登記事項要約書:登記記録に記載された事項のうち現に効力を有するものが記載されるもの=現在事項証明書
※2所有者事項証明書:所有者の住所、氏名、持分のみ記載されているもの

登記事項証明書(全部事項証明書)の見方

登記事項証明書の見方を、図表4全部事項証明書【土地】見本を使い、各部分ごとに解説します。なお、登記事項証明書の記載事項に下線が引いてある事項は、すでに抹消してあるか違う事項に変更してあるのかを示します。

【図表4】

引用:法務省「全部事項証明書(不動産登記)の見本」
https://www.moj.go.jp/content/001309855.pdf

表題部

登記事項証明書の表題部は、不動産の物理的状況を示した部分です。それぞれの項目を図表5にまとめました。

【図表5】

項目 内容
調製 登記事項証明書が作成された日付が記載されます。
不動産番号 登記を受け付けると不動産番号が割り振られます。
この割り振られた番号が記載されます。
地図番号 地図が備え付けられている所在の不動産の場合、その地図の番号が記載されます。
筆界特定 筆界特定された場合に筆界特定されている場所が記載されます。
筆界特定とは公的機関が筆の境界がどこか判断する制度です。
所在 不動産の所在が記載されます。
あくまで不動産の所在のため、住所と違う所在になることがあります。
地番 上記所在の詳細番号が記載されます。
地目 土地の登記上の地目が記載されます。
地目には、宅地・田・畑・山林・境内地・鉱泉地などがあります。
地積(㎡) 土地の面積が㎡単位で記載されます。
閉鎖登記簿のように古いものは坪単位で記載されることもあります。
原因及びその日付 表題部を登記した理由とその日付が記載されます。
所有者 最初に所有権を付けた人の住所と氏名が記載されます。

 

権利部(甲区)

登記事項証明書の権利部(甲区)は、不動産の権利のうち所有権の内容を記載する部分です。
それぞれの項目を図表6にまとめました。

【図表6】

項目 内容
登記の目的 所有権に関する登記で、登記した目的が記載されます。
例えば所有権移転、所有権保存、差押、仮差押などがあります。
受付年月日・受付番号 登記を受け付けた年月日と、その受付番号が記載されます。
権利者その他の事項 登記した人の住所や氏名が記載されます。

 

権利部(乙区)

登記事項証明書の権利部(乙区)は、不動産の権利のうち所有権以外の内容を記載する部分です。
それぞれの項目を図表7にまとめました。

【図表7】

項目 内容
登記の目的 所有権以外に関する登記で、登記した目的が記載されます。
例えば抵当権、根抵当権、質権、地上権、永小作権などがあります。
受付年月日・受付番号 登記を受け付けた年月日と、その受付番号が記載されます。
権利その他の事項 登記した人の住所や氏名が記載されます。

 

共同担保目録

共同担保目録とは、1つの債権の担保として複数の不動産に設定された抵当権(共同担保)を一括して記載した登記事項をいいます。それぞれの項目を図表7にまとめました。

【図表8】

項目 内容
記号及び番号 共同担保目録の記号と番号が記載されます。
調整 共同担保目録が作成された日付が記載されます。
担保の目的である
権利の表示
共同担保にされた不動産の所在が記載されます。
順位番号 共同担保のどのグループに属するかが番号で記載されます。
予備 その他記載事項があれば、その他事項が記載されます。

登記事項証明書には、家屋や区分所有建物(マンション)がありますが、内容は土地の場合とほぼ変わりません。

登記事項証明書によくあるQ&A

登記事項証明書によくある質問をQ&A形式でお答えします。

Q.登記簿抄本とはなんですか?登記簿謄本とは違うものなのですか?
A.登記簿抄本と登記簿謄本とは、違うものです。抄本とは、元となる内容を「一部」書き写して作成した文書のことをいいます。一方、謄本とは、元となる内容の「全部」を書き写して作成した文書のことをいいます。つまり、抄本は登記事項要約書のことを指し、謄本は登記事項全部事項証明書のことを指します。

Q.登記を申請するケースとはどのような場合ですか?
A.登記を申請するケースは多くあるため、一部のケースを紹介します。
・不動産の売買を行ったときの所有権移転登記
・建物を新築したときの表示登記
・表示登記をした後にする所有権保存登記
・相続を受けて所有権移転をしたときの相続登記
・住所や氏名の変更があったときにする住所・氏名変更登記
・不動産を担保にしてローンを借りたときの抵当権設定登記
・不動産を担保にして借りたローンを全額返済したときの抵当権抹消登記
などが代表例です。

Q.他人の不動産の登記情報を見ることはできますか?
A.他人が所有している不動産の登記情報は、誰でも確認することが可能です。
登記は一般公開情報のため、誰でも確認することができます。

Q.不動産の全部事項証明書の閲覧制限をかけることはできますか?
A.不動産登記は所有者や担保権者が誰なのかを公示する役割を持っているため、閲覧制限をかけることはできません。

Q.最寄りの法務局が管轄している住所ではない登記情報が知りたいのですがどうしたらいいですか?
A.どこの法務局でも管轄外の住所地の登記情報を取得することができます。そのため、最寄りの法務局へ行っていただければ、管轄外の登記事項証明書が取得可能です。

まとめ

登記は自分の権利を、第三者に主張できる大切な法的手続きです。その手続きを書面化したものが、登記事項証明書です。

登記事項証明書は、さまざまな呼び方や種類、内容の細かさが相まって非常に理解しづらい書類となってしまっています。しかし、前述のとおり、権利を主張するために大切な書類のため、内容を把握し登記はしっかりと行っておく必要があります。

また、登記事項証明書は不動産売買をするときに、必要書類の1つとして提出を求められることがあります。そのため、不動産売買を行うときには、登記事項証明書の取得方法や取得に料金がかかることを把握しておかなければなりません。

もし、登記事項証明書のことでわからないことがあれば、知り合いの不動産会社や最寄りの法務局に確認しましょう。

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