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2022.11.11

不動産の購入

不動産売買に必要な手付金とは?手付金のすべてを徹底解説!!

不動産売買を行うときには手付金の授受が行われます。
しかし、手付金の意味や手付金を支払うべき理由を詳しく説明できる人はあまり多くないでしょう。

実は、不動産を売買する際に手付金を支払うことは、様々なトラブルを未然に防ぐ意味でとても大きな役割を担っています。

今回は、不動産売買の際に授受される手付金について徹底解説します。

手付金とは

手付金とは、不動産売買契約時に買主から売主へ渡す金銭のことです。
手付金には多くの意味があり、主に次のような意味があるとされています。
・証約手付
・解約手付
・違約手付
これらの意味を詳しく紹介していきます。

証約手付

手付金には証約手付の意味合いが含まれます。
証約手付とは、手付金を入れることで契約をした証拠とする役割を果たす手付金のことです。

不動産売買契約自体は不動産売買契約書に記名押印をするだけで成立します。
しかし、書面の記名押印だけより金銭の授受が行われたほうが契約が成立したと証明しやすいため、手付金の受け渡しを行い不動産売買が成立したことを証しているわけです。

解約手付

手付金には解約手付の意味合いもあります。

売買契約を締結した後、引き渡しまでには時間がかかります。
その間に契約を解約しなければならない事情があったとします。
そのようなときに手付金の授受を行っていない場合、契約解除に対する責任を相手方に取らせにくい状態となってしまいます。
しかし、手付金の授受を行っていれば一定期間内において、いかなる理由でも契約を法的に解除することができます。これを「解約手付」といいます。

また、手付金の授受を行うことにより、契約したときに手付金が放棄・倍返ししないといけないという心理が働き、安易な契約解除を少なくする効力が発生します。

違約手付

手付金には違約手付という意味合いも含まれます。

相手方が契約違反をした場合、契約違反を理由に違約金の請求と契約解除の請求をします。
そのときに手付金を違約金の代わりとして利用します。

手付金授受のタイミング

手付金授受のタイミングは、不動産売買契約締結と同時です。

重要事項説明書と不動産売買契約書の読み合わせが終わり、記名押印をした直後に手付金の授受が行われます。

基本的には手付金は現金でやり取りします。
不動産売買契約を締結した直後から手付解除の期日が始まるため、手付金をすぐに渡しておかないと手付解除したときの放棄・倍返しができなくなるためです。

不動産売買契約締結と同時に金銭を渡せば良いため、現金の他にはネットバンク決済などで手付金を振り込むこともあります。
ただし、振込小切手や手形など即換金できないものは、手付金として相応しくないため基本的に利用しません。

手付金の相場

手付金の相場は、不動産売買代金の5%~10%ほどとされています。

5%~10%が相場になっているのには理由があります。
手付金が多額になると手付金自体用意ができなかったり、手付解除するときに手付金を没収・倍返しにくくなり売主と買主の解除の意思を拘束したりするためです。

また、売主が不動産会社の場合、宅地建物取引業法により預かることのできる手付金の金額が決まっています。
不動産会社が手付金を預かることができる金額は次のとおりです。
・不動産が完成物件の場合:売買代金の10%以下かつ1,000万円以下
・不動産が未完成物件の場合:売買代金の5%以下かつ1,000万円以下

このように法律でも、5%~10%での手付金のやり取りを推奨しているため、手付金の相場は5%~10%になってます。

なお、不動産会社が預かることのできる金額以上の手付金を受けとる場合は、銀行の連帯保証契約や保険会社との保証契約を締結し、手付金が第三者に保証される状態(保全措置)を講じなければなりません。

手付解除について

手付解除を行うと手付金は放棄もしくは倍返しをする必要があります。
手付金の放棄とは買主から手付解除する場合のことで、売主に渡した手付金の所有権を放棄し、手付金を売主の所有物にし契約を解除することです。

また、手付金の倍返しとは売主から手付金解除する場合のことで、買主から受け取った手付金を返還したうえで、返還した手付金の同額を買主に渡し契約を解除することです。

買主・売主どちらから手付解除をしても、手付解除の意思を示したほうが手付金分の損失を受けるということです。

また、手付解除には解除できる期間が設けられます。
一般個人同士の不動産売買契約であれば、〇〇年〇〇月〇〇日までと期日をはっきりと明示します。
不動産会社と不動産売買契約を締結する場合は、契約の履行に着手するまで手付解除が可能です。

契約の履行に着手するまでとは、契約を進めるために必要な行動を起こすことです。
例えば、不動産売買契約締結後、買主が住宅ローンの本申込を行う、売主が確定測量の手続きをしたなどが考えられます。
つまりこの場合、相手方の動きによって手付解除の期日が変動するということです。

手付解除以外の解除における手付金の扱い

手付金は手付解除以外の契約解除条項にも利用されることがあります。

手付金が手付解除条項以外にも用いられる代表的な条項は、違約解除や融資特約による契約解除です。

違約解除をするときには次のような流れを取ります。
【売主から違約解除をする場合】
・受け取っている手付金が違約金と同額なら手付金を没収
・手付金より違約金のほうが少ない場合は差額を買主に返還
・手付金より違約金のほうが多い場合は差額を買主に請求
【買主から違約解除をする場合】
・売主に渡した手付金の返還を受けたうえで違約金を請求

また、融資特約による契約解除の場合には次のような流れを取ります。
・売主は受け取った手付金を無利息にて買主へ返還

このように手付金は手付解除以外でも、没収・倍返しや返還を受けるなどさまざまな条項に利用されます。

手付解除や手付金にまつわるトラブル

手付金は契約を安定させる効果があることは説明しましたが、場合によってはトラブルを引き起こすこともあります。
そのため、手付金についてはトラブルも発生する可能性があることを知っておかないといけません。
ここからは手付解除や手付金にまつわるトラブルを紹介していきます。

不動産会社に手付解除を申し出たが返還を拒否された

不動産会社が売主の分譲住宅を購入したが、他の不動産を購入したくなり手付解除を申し出たケースです。

不動産会社との手付解除は、相手方が契約の履行に着手するまで手付解除することができるとなっています。
そのため、不動産会社が契約の履行に着手しているかどうかが鍵となります。

このケースでは、不動産会社が分譲住宅の建築資材を発注したから契約の履行に着手に該当するということで、手付解除は認めないと言ってきました。

この建築資材を発注した行為が契約の履行に着手に該当するのであれば、手付解除は行えません。
しかし、この建築資材を発注した行為が契約の履行に着手に該当しなければ手付解除をすることができます。
そのため、どの行為が契約の履行に着手に該当するのかにより結果が変わります。

なお、建築資材の発注を計画的に行っており、買主が購入しようが購入しまいが建築を進める計画となっていた場合は、契約の履行に着手には該当しない可能性があります。
このように状況によって契約の履行に着手に該当するのかが変わるため、このようなケースに遭遇した場合は弁護士などに相談したほうが良いでしょう。

住宅ローンの審査に通らなかったので契約解除したいが手付金を返還してくれない

住宅ローンの審査が通らず、契約を解除したい旨を売主に伝えたときのケースです。

このケースでは不動産売買契約書に融資特約が付いているかどうかが鍵となります。

融資特約が明記されている場合、融資特約期日内に住宅ローン審査に落ち契約解除をする場合、売主は手付金を全額、無利息にて買主に返還する義務があります。
融資特約が契約書に明記されているのに、手付金を返還してくれない場合は契約違反で違約です。

しかし、契約書に融資特約が明記されていなかった場合は、手付解除期日内なら買主が手付解除するしかありません。
また、手付解除期日を過ぎてしまっている場合は、売主からの違約解除請求を受けることとなります。
融資特約が明記されていない場合はどちらにしても、手付金は戻ってきません。

不動産会社が倒産してしまった

不動産会社が売主の不動産を購入し手付金を支払ったが、不動産の引き渡しをする前に不動産会社が倒産してしまったケースです。

この場合、手付金に手付保障などしてあれば手付金が戻ってきます。
しかし、手付保障などをしていない場合、手付金を回収するのは非常に困難です。
手付金を不動産会社に渡している状態であれば一般債権者となるため、不動産会社の破産時などに手付金を回収できる可能性はありますが、手付金全額を回収することは難しいと言えます。

手付金を守る方法もある

手付金が多額になる場合など手付金を渡すのが心配な場合は、手付保障制度を利用し不動産売買契約をすることも可能です。

例えば、ウサギマークの全日本不動産協会の不動産仲介会社を利用し不動産売買契約をする場合、一般保証制度という手付金保障を受けることができます。

全日本不動産協会の一般保証制度を利用する場合、全日本不動産協会の会員である不動産仲介会社に一般保証制度を利用する旨を伝え、その不動産会社から協会へ一般保証制度の申請をします。

申請を受けた協会は保証するかどうかの審査を行い、審査に通過すれば手付金を保証してくれます。

手付金が用意できない場合は?

手付金の相場である5%~10%用意できないときには、担当している不動産会社に手付金を用意できないことを伝えます。

このときの対応は不動産会社によって異なりますが、場合によっては手付金を10万円や50万円と少額でも認めてくれる場合があります。

ただし、少額で不動産売買契約するのはリスクが大きいため、リスクを知ったうえで不動産売買契約をしなければなりません。
手付金が少額だと相手方が手付解除をしやすくなり、少しでも嫌なことがあると不動産売買契約を解除してくる可能性が高まってしまいます。

また、渡す手付金は少額が認められたとしても、手付解除するときには売買代金の5%~10%の金額を払うという契約にさせられるケースもあります。
手付金を用意する現金がないのにもかかわらず、手付解除するときには多額の金銭が必要になるため、手付解除を実質使うことができなくなる状況になる場合があります。

その他にも、大手不動産仲介会社が担当する不動産の場合、売主ではなく不動産仲介会社が売買契約をしないと言ってくるケースがあります。
前述のように手付金を少額にすると契約リスクが高まるため、リスク回避の観点から仲介会社が少額手付を認めないことがあります。

まとめ

不動産売買契約を締結するときには、手付金の授受を行います。
手付金の授受は契約を証明する意味を持つだけでなく、手付解除をするときの解約手付、違約解約するときの違約金の代用である違約手付という意味を持ちます。

不動産売買契約をするにあたって手付金はさまざまな意味を持ち、契約を安定化させる効果を生みます。

手付金は契約を安定化させる効果を生むものの、手付金や手付解除が元でトラブルに発展するケースがあります。
そのため、手付金についてどのような意味を持ち、どのようなケースでトラブルになるのかを知っておくことが重要です。

手付金は物件代金の一部という理解だけで不動産売買契約に臨むのと、手付金の意味を知ったうえで契約に臨むのでは考え方が大きく変わります。
不動産売買は高額な商品の売り買いになるため、正確な知識を身に着けトラブルを回避するようにしていくことが大切です。

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